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著作権の裁判例(EM菌新聞記事事件)

著作権 裁判例 著作物性

最近の裁判例を1件ご紹介します。
ブログ記事(の一部分)の著作物性が問題となった事案です。

東京地判平成28年4月28日(民事第46部。裁判長:長谷川浩二
平成27年(ワ)第18469号 損害賠償等請求事件

【事案の概要】

原告A氏は大学の名誉教授で、EM菌の研究者です。
A氏は平成19年に、自身のブログで「私はEMの本質的な効果は、B先生が確認した重力波と想定される縦波の波動によるものと考えています。」と記載していました。

被告は新聞社です。
被告は、平成24年の記事にて、
「EM菌の効果について、開発者のA・琉球大名誉教授は「重力波と想定される波動によるもの」と主張する。」
「開発者のA・琉球大名誉教授は、効果は「重力波と想定される波動による」と説明する。」
と記載していました。

そこで、原告が、被告に対し、原告のブログの一部を引用したことが複製権と同一性保持権の侵害に当たるとともに、原告を取材せずに記事を掲載したことが不法行為に当たると主張して、損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた事案です。


【裁判所の判断】

結論は、請求棄却。
争点は、被告の記載が、原告の複製権または同一性保持権を侵害するかという点です。

裁判所は、まず「本件で原告の記載と被告の記載が表現上共通するのは、「重力波と想定される」「波動による(もの)」との部分のみである」と指摘したうえで、「この部分はEMの効果に関する原告の学術的見解を簡潔に示したものであり、原告の思想そのものということができる」から、そもそも著作権法にいう「著作物」に当たらないと判断しました。(下線:筆者)