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著作権の裁判例(『First Love』事件)

著作権 裁判例

最近の裁判例を1件ご紹介。
いわゆるアイデア/表現の二分論について(一応)言及されています。

東京地判平成28年4月21日(民事第46部。裁判長:長谷川浩二
平成27年(ワ)第28086号 損害賠償等請求事件

【事案の概要】


原告が、宇多田ヒカルさんのアルバム『First Love』等の共同著作者であると主張して、被告に対し損害賠償等を求めた事案です。(なお、原告側は本人訴訟で、代理人弁護士をつけてません。)

原告の主張(の一部)は次のとおりです。
平成11年1月に、原告が被告に対して、「なあ,今度のアルバムさあ。新宿で電車乗って,明大前にさしかかるところで,思いっきり寝れるように,子守歌系のやつ創って入れてよ」「囁き系がいいや」と伝達し、被告がこの内容に依拠した。その結果、アルバム『First Love』における楽曲「First Love」の曲順やテンポ等が、原告からの伝達内容を反映したものとなった。したがって、原告は共同著作者の一人である。


【裁判所の判断】


請求棄却。

裁判所は、そもそも原告の主張は証拠から認め難いとしましたが、あわせて次のように述べています(下線:筆者)。
「仮にそのような事実が認められるとしても,(中略)原告が主張する伝達内容は,楽曲のテンポその他の素材の内容及び配列の順序のいずれの点においても,創作のための着想にすぎず,具体的な表現であるということはできない。